近年、アメリカでは日本の旧車人気が高まっています。そのきっかけは、1970年代のオイルショックにさかのぼります。当時、燃費が良くて壊れにくい日本車が注目を浴び、今では「クラシックカー」「ビンテージカー」として多くのファンに愛されています。
カリフォルニアで開催される日本車の祭典
カリフォルニア州で毎年開催されている「Japanese Classic Car Show(JCCS)」は、日本車好きが自慢の愛車を持ち寄る大規模イベントです。2022年にはロングビーチのマリーナ・グリーンパークで行われ、540台以上の旧車が展示されました。
アメリカで支持される代表的な日本車
1. ダットサン240Z(フェアレディZ)
アメリカで「ダットサン240Z」として知られるこのモデルは、日本車ブームの象徴的存在です。1969年にデビューし、スポーツカーとしての走りやデザイン性、そしてレーシングチーム「BRE」の活躍によって一気に知名度が高まりました。
2. ダットサン510(日産ブルーバード)
240Zと並びアメリカで人気の「ダットサン510」は、Trans-Amシリーズでの連覇など、レースシーンでの成功も目立ちます。セダンやクーペ、ワゴンなどバリエーションが豊富で、アメリカでは2ドアセダンが主流となっています。
3. トヨタ・カローラ
特に後輪駆動の4代目までのカローラは、根強い人気を誇ります。移民としてアメリカに渡ったトヨタファンが自らのルーツを大切にし、カローラを愛用しているケースも多いです。また、カローラレビンやGT-S(AE86型)といったスポーツモデルも、愛好家から高い評価を得ています。
4. トヨタ・セリカ
日本では「ダルマセリカ」と呼ばれる初代セリカも、アメリカではポニーカー風のデザインが人気でした。クーペやリフトバックなどのバリエーションがあり、アメリカ仕様は日本とは異なるエンジンやバンパーが特徴。多くのファンが日本仕様へカスタマイズを施しています。
5. ホンダN600
ホンダがアメリカで初めて投入した4輪車「N600」も、JCCSなどで多く見かけるモデルです。小型でかわいらしいデザインが特徴で、「小さなものを愛する」という日本独自の価値観に共感するアメリカ人オーナーも多いようです。
6. ホンダ・シビック
1973年にマスキー法を世界で初めてクリアしたCVCCエンジンを搭載し、燃費や排ガス規制に敏感になったアメリカ市場で大きな成功を収めました。若い世代にも人気があり、派生モデルのCR-Xも高い支持を受けています。
7. マツダ・ロータリーエンジン搭載車
1970年から対米輸出を始めたマツダは、「RX-2」「RX-3」「RX-7」などのロータリーエンジン車で存在感を発揮。希少なロータリーエンジンの独特なサウンドは、熱心なファンを今も魅了し続けています。
旧車文化が根付くアメリカ
アメリカでは多民族国家ならではの背景もあり、旧車を通じて自身のアイデンティティを表現する人も少なくありません。日本車はその信頼性と独自の魅力で、今後も多くの愛好家から愛され続けるでしょう。