2025年の国内乗用車販売ランキングで、トヨタに次ぐ2位にスズキがランクインした。販売台数はトヨタが129万台、スズキが60万台、3位のダイハツは58万台と続き、スズキは従来の3位・4位争いから確実に一歩前へと進んだ。
この背景には、スズキ自身の地道な努力と他メーカーの停滞という両面の要因がある。とりわけ、かつては2位を守っていた日産の低迷が目立ち、ホンダやダイハツとの順位も僅差となっている。
日産の後退とスズキ浮上の構図
2000年代前半まで、トヨタ、日産、ホンダが国内市場の上位を占めていたが、2010年前後から日産は新型車の投入が減少。特に2011年から2019年にかけては、1~2年に1車種のみというペースで、新商品不足が顧客離れを引き起こした。2022年には「エクストレイル」や「セレナ」といった新型車が出たが、部品供給の遅れが納車に影響し、販売回復は限定的だった。
一方でスズキは、軽自動車の好調な販売と、小型車でも「ソリオ」「スイフト」などの主力モデルで存在感を高めた。軽自動車と小型車のバランスが取れたラインナップが、順位上昇の原動力となっている。
軽自動車の存在感とスズキの強み
今や新車の約40%が軽自動車という市場構造において、スズキは大きな強みを発揮している。軽自動車の販売比率が高いスズキは、納車のスピードでも優位に立ち、販売台数の維持・拡大に成功している。
また、軽自動車市場が成長した背景には、小型/普通車の価格上昇もある。かつて200万円前後で購入できたミニバンやセダンが、今では300万円近くに達し、消費者はより価格帯の低い軽自動車に目を向けるようになった。こうした価格面での現実が、スズキ車の需要をさらに後押ししている。
軽量設計とユーザー本位のものづくり
スズキの人気を支えるもう一つの要素が、車両の軽量設計だ。たとえばスイフトの2WDモデルは車両重量が900kg前後に抑えられ、「スイフトスポーツ」でも1トンを下回る。この軽さが燃費性能や走行性能に直結し、ユーザーから高評価を得ている。
また、安全装備や運転支援機能も年々充実しており、「価格が手ごろで安全性も高い」という安心感が、多くのファミリー層や高齢者層の購買意欲を掴んでいる。
今後の展望
スズキの国内販売台数が2位に浮上したことは偶然ではなく、長年の製品開発と市場適応の結果だ。軽自動車と小型車のバランス、コストパフォーマンス、納期対応力といった複数の要素が、競合他社との違いを生み出している。