欧州市場で加速する小型電動スポーツカー競争
ヨーロッパでは近年、小型の電動スポーツカー市場が急拡大しています。ステランティスは傘下ブランドを通じて多様なラインナップを用意しており、アバルト600e、アルファロメオ・ジュニア・ヴェローチェ、ランチア・イプシロンHF、そして新型プジョー208 GTIなどが続々と登場しています。ここに新たに加わったのが、オペルのスポーツ仕様SUV「モッカGSE」です。
エクステリア:スポーティなデザインと存在感
モッカGSEは、従来のモッカよりも力強い外観を持ち、昨年公開されたGSEラリープロトタイプのデザインを継承。フロント・リアバンパーにはブラックのインサートが配され、エアインテークが強調されています。グリルとサイドパネルに配されたGSEバッジがパフォーマンスモデルであることを示し、20インチのエアロホイールとイエローキャリパーが、コンパクトSUVながら際立つスポーツ性を演出します。
インテリア:快適さと先進性の融合
室内もアップグレードが施されています。フロントシートにはアルカンターラ素材を用い、体をしっかり支える形状に。ドアトリムも同様の仕上げとなっています。新形状のステアリング、アルミペダル、ホワイトとイエローのアクセントが特別感を強調。デジタルコクピットは2つの10インチディスプレイを備え、GSE専用のパフォーマンス表示がリアルタイムのデータ提供を実現しています。
パワートレインと走行性能
モッカGSEには278馬力(207kW/280PS)、最大トルク345Nmを発生する電動モーターが搭載されています。この性能は、アバルトやアルファロメオのトップグレード、またGSEラリーコンセプトと肩を並べます。駆動方式はフロントホイールドライブで、機械式トルセンLSD(リミテッド・スリップ・ディファレンシャル)を採用し、ウェット路面でも高いトラクションを維持。ワインディングでも優れたコーナリング性能を発揮します。
シャシーと装備の強化
パワフルな走りに対応するため、オペルは電動パワーステアリングの反応性を高め、専用アクスルやデュアルハイドロダンパー付きのスポーツサスペンション、そしてイエローのGSEキャリパーが際立つ強化ブレーキを採用。標準でミシュラン・パイロットスポーツEVタイヤが装着され、航続距離重視のオプションタイヤも用意されています。
洗練されたデザインと使いやすさ
エクステリアは、20インチホイールとGSEのバッジがスポーティさを主張しますが、ベースモデルのモッカ自体が洗練されたデザインであるため、大幅な変更は必要ありませんでした。全体的に控えめながらも機能的で、日常使いにも適したバランスが保たれています。
モッカの進化と最新アップデート
オペル・モッカはブランド最新モデルの中でも高い評価を獲得し、デザイナーのマーク・アダムスによる新たなデザインが注目されています。2021年、フランスの企業傘下に入って以降、完全な電動化モデルもラインナップに加わり、ドイツ車の新しい個性を示しました。
今回のアップデートは大掛かりなフェイスリフトではなく、フロントデザインやインサートのサイズ調整、クロームパーツの排除など、よりモダンで落ち着いた外観へと進化。ロゴやLEDライトのグラフィックも刷新されました。
機能性と快適性へのこだわり
外観だけでなく、インテリアも経済的ながら質感にこだわり、上質なシートや暗めの室内が包み込むような安心感を演出。160mmの最低地上高で悪路にも対応し、積載時には沈み込みやすい点にも配慮されています。
まとめ
新型オペル・モッカGSEは、スポーティなデザインと高性能な電動パワートレイン、そして日常的な使い勝手や快適性を兼ね備えた一台です。欧州市場でさらなる存在感を示し、これからの小型電動SUV市場をリードするモデルとなるでしょう。