BYD、全地形対応サーキット開設と生産体制強化で市場支配を加速

BYD、全地形対応サーキット開設と生産体制強化で市場支配を加速

中国の電気自動車(EV)大手BYDが、その技術力と市場拡大への意欲を改めて示す動きを見せている。同社はあらゆる地形を再現した大規模なテストサーキットを河南省鄭州市に開設したほか、生産ラインの品質管理を強化するため、韓国の検査装置メーカー、イノメトリーとの協力を再開した。これら二つの動きは、BYDが製品開発と生産品質の両面から、業界におけるリーダーシップを確固たるものにしようとする戦略の表れである。

「巨大なEVの遊び場」:あらゆる走行環境を再現する新サーキット

BYDは今月14日、河南省鄭州市にEV専用の多機能テストサーキットを正式にオープンした。同社はこれを「破壊的なイノベーションによって、従来のレーシングトラックの垣根を打ち破るもの」と位置づけている。

この施設には、全長1758メートルの高速レーシングトラックに加え、8つのユニークな地形が再現されたエリアが設けられている。特筆すべきは、室内施設としては世界最大級となる高さ29.6メートル、最大斜度28度を誇る砂丘や、氷雪路面を再現するために約3万個の滑らかな玄武岩タイルと厚さ3mmの水膜で覆われた中国初の直径44メートルの低摩擦円形トラックである。このトラックでは、ユーザーは安全な環境でドリフト走行など特殊な運転技術を体験できる。

さらに、同社の高級ブランド「仰望(Yangwang)」のU8モデル専用に設計された全長70メートルの渡河プールも設置されている。U8は緊急時に約30分間水上に浮くことができる機能を備えており、その性能を実証するための施設だ。このほか、初心者から熟練者まで楽しめる27のコースが設定されたオフロードマウンテンエリアやキャンプ場なども併設されている。

今回オープンしたサーキットはBYDが計画する複数の施設のうちの第一号であり、今後、安徽省合肥市や浙江省紹興市にも新たなサーキットの開設が予定されている。特に紹興市のオフロードエリアは、海抜500メートルに位置し、約90万平方メートルという広大な敷地を誇る計画だ。

生産品質の向上へ:韓国イノメトリーとの協力関係を再開

最先端の車両開発と並行して、BYDは生産ラインにおける品質管理体制の強化にも着手している。韓国のバッテリー検査装置メーカーであるイノメトリーは、BYDとの間で、既存の検査装置を改造する契約を締結したことを発表した。

今回の契約は、BYDが青海省と西安市に持つ角形バッテリー工場で稼働中の検査装置10数台を対象とするものだ。イノメトリーは、既存の設備にAI(人工知能)技術を導入し、角形バッテリーに特化した検査項目を追加する改造作業を行う。これは、バッテリー内の異物測定速度の向上と、不良品の 유형をより細かく分類したいというBYD側の技術的な要求に応えるためのものである。

イノメトリーの中国法人長であるソ・ヘジン氏は、「今回の契約を皮切りに、既存設備の改造を段階的に拡大するとともに、新設ラインへの装置供給も並行して行うことでBYDと協議した」と述べ、今後の協力拡大に期待を示した。

イノメトリーにとってBYDは、2020年以前には最大顧客であったほど中国での売上比率が高かったが、新型コロナウイルスのパンデミック以降、中国のロックダウン政策などの影響を受け、現地事業を戦略的に縮小していた。同社は今回の契約を機に中国事業を本格的に再拡大する計画で、先月には中国のバッテリーメーカーであるBAKパワーとも検査装置の供給契約を締結している。

今後の展望:高い技術要求に応え、中国市場での成長を目指す

イノメトリーのイ・ガプス代表は、「BYDの技術的な要求は中国国内で最も厳しい最高レベルにあるが、過去の協力関係を通じてすでに十分な信頼を築いている。今後、BYDからの追加受注を含め、多様な中国顧客のプロジェクトに遅滞なく対応していく」と強調した。

世界最大級のテスト施設をオープンし、ユーザーにこれまでにない体験を提供すると同時に、生産の根幹をなす品質管理においてもグローバルなパートナーシップを再構築するBYD。その多角的な戦略は、競争が激化する世界のEV市場において、同社の存在感をさらに高めることになりそうだ。