株価の動向
最新の取引セッションにおいて、中国の新興EVメーカーである理想汽車(Li Auto Inc.、ティッカーシンボル: LI)の米国預託証券(ADR)は、前日比$4.62\%$安の$23.75$ドルで取引を終えました。同日のS&P 500種株価指数が$0.03%の上昇を記録したのとは対照的に、理想汽車の株価は市場全体の動きに逆行する形となりました。なお、ダウ工業株30種平均は0.03%安、ハイテク株中心のナスダック総合指数は0.01%$安で引けています。
過去1ヶ月間のスパンで見ても、理想汽車の株価は$15.31%の大幅な下落を記録しており、同期間に7%$上昇した自動車・タイヤ・トラックセクターや、$3.46%$上昇したS&P 500種指数を大きくアンダーパフォームしています。投資家コミュニティは、同社が近く発表する次回の決算報告での業績を注視しています。
アナリストによる厳しい評価
通期の業績について、ザックス・コンセンサス・エスティメートによると、アナリストは1株当たり利益(EPS)を1.22ドル、売上高を218.2億ドルと予測しています。これは前年比でそれぞれ$11.59%の減益、および8.63%$の増収に相当します。
投資家にとって重要なのは、アナリストによる業績予測の最近の修正動向です。こうした修正は、短期的な事業トレンドの変化を反映する傾向があります。理想汽車に関しては、この30日間でザックス・コンセンサスEPS予測が$5.88%$下方修正されており、事業見通しに対する懸念が示唆されています。ザックス独自の株式評価システム「ザックスランク」では、理想汽車は現在「#4」(売り推奨)に格付けされており、短期的な株価パフォーマンスに対する厳しい見方が示されています。
純粋EV市場への再挑戦と新型「i8」
こうした市場の厳しい評価の背景には、同社が満を持して投入した新型純粋電気自動車(BEV)「i8」の立ち上がりの遅れがあると考えられます。理想汽車のCEOである李想氏は、i8の発売を前に自らSNS「Douyin(抖音)」のアカウントを開設し、ブランドの影響力拡大とユーザーとの関係強化を図りました。同氏が投稿した10本の動画のうち7本がi8関連のものであり、会社としての期待の高さがうかがえます。発表会も、通常の1時間から2時間に拡大され、李想氏自身が「過去最大規模の会場で、過去最長の発表会」と語るほど力を入れたものでした。
市場の期待と現実のギャップ
しかし、「競合はいない」とまで評されたi8は、発売後、同社のレンジエクステンダー搭載モデルであるLシリーズのような販売神話を再現するには至っていません。Lシリーズの成功要因であった冷蔵庫、大型テレビ、快適なソファといった装備が、i8のPro、Max、Ultraの各バージョンで標準装備されていないことが指摘されています。また、前衛的すぎると評されるデザインや、32万1800元(約650万円)からという高額な開始価格も、消費者の購入をためらわせる要因となっています。発売から2週間以上が経過した現在も、理想汽車はi8の正式な受注台数を公表していません。
過去の教訓と今後の戦略
同社は昨年、初の純粋EVである「MEGA」の販売不振を経験しており、李想氏は社内会議で「MEGAと高電圧純粋EVは、かつての理想ONEやレンジエクステンダー車が経験したような『0から1』のプロセスを経る必要がある。Lシリーズのように発売直後から『1から10』の勢いで売れると想定したのは、我々の純粋EV戦略に対する見込み違いだった」と反省を述べています。
iシリーズは、同社が成長の壁を突破し、次のステージへ進むための重要な役割を担っています。同社は今年初め、「3年以内にハイエンド純粋EV市場の第一線に立つ」という目標を掲げました。この目標達成の可否は、今後の製品戦略と市場への対応にかかっています。
非公式データに見る現状
一方で、非公式な情報ながら販売状況を示すデータも出ています。自動車情報サイト「Che Fans」の孫少軍氏がライブ配信で明らかにしたところによると、7月28日から8月3日までの1週間で、理想汽車は全体で約13,000台の新規受注を獲得し、そのうち約6,000台がi8の確定注文だったとのことです。内訳は、最上位モデルのUltraが70%、中間モデルのMaxが20%を占めているとされています。このデータが正確であれば、一定の需要は存在するものの、会社全体の成長を牽引するにはまだ力不足であり、市場の懸念を払拭するには至っていないというのが現状のようです。